医薬品などの安全施策を推進するため、厚生労働省は2011年から3年間で電子カルテなどのデータを活用した医療情報データベースの構築を進める。5月2日6には、公募していた協力医療機関の選定結果が公表され、徳洲会グループも名を連ねた。

「医療情報データベース基盤整備事業」は、将来的に1000万人規模のデータベース構築を目指すが、当面は疫学的手法を活用し、医薬品の安全対策につなげるのが目標で、3カ年の計画。厚労省、PMDA(医薬品医療機器総合機構)、協力医療機関の3者で進める。2011年度予算で7億4000万円が確保されている。

現在、医薬品による副作用症例は、発生した個々のケースが別々に報告されているのみで、集団を対象とした疫学的なデータではない。医薬品を投与した母数がわからないため、副作用の発生率も把握できない。また原疾患に起因するものか、副作用なのかも特定しにくい。これらの問題を解決し、疫学的分析を行うのが「医療情報データベース基盤整備事業」の目的。

事業では、協力医療機関ごとに電子カルテ、オーダリング(検査・処方などに関わる情報伝達システム)、レセプト(診療報酬請求明細書)、検査データなどの情報を連結可能な形で匿名化して、医薬品評価に必要なデータベースを構築する。臨床での患者さんの症状をどのように標準化していくかなど課題も多い。PMDAは疫学的調査・分析のためのプロトコール(規定)を作成、協力医療機関はその調査・分析に必要なデータをPMDAに送信することになる。

7大学病院・3グループでスタート

今回、4月25日締め切りの公募には、16病院と4つのグループが応募し、東北大学病院、千葉大学医学部附属病院、東京大学医学部附属病院、浜松医科大学医学部附属病院、香川大学医学部附属病院、九州大学病院、佐賀大学医学部附属病院の7大学病院と、北里大学・北里研究所附属病院、NTT病院グループ、徳洲会グループの3グループが選出された。

徳洲会グループは09年11月から、徳洲会インフォメーションシステム株式会社(TIS)が中心となってグループの医療情報の標準化を進めてきた。同社の尾崎勝彦社長は「この事業で、国が臨床データを含めた医療情報をどのように標準化していくのかの方針が示されることを期待する。徳洲会グループとしてはこのプロジェクトに参加することで、国の方針に沿ったグループの医療情報の標準化をさらに促進することになると思う」と歓迎する。

グループとしては、まず松原徳洲会病院、野崎徳洲会病院、岸和田徳洲会病院、八尾徳洲会総合病院(以上大阪府)、宇治徳洲会病院(京都府)、名古屋徳洲会総合病院、福岡徳洲会病院、茅ヶ崎徳洲会総合病院(神奈川県)、札幌徳洲会病院、東京西徳洲会病院の10病院で事業をスタート、最終的には66病院に拡大する予定。

徳洲新聞2011年(平成23年)6/27  NO.780 より