学会発表
TISと徳洲会グループ病院のSEで構成される情報システム管理部会(SE部会)は、
医療情報学連合大会(日本医療情報学会学術大会)をはじめとした各学会への参加・発表を積極的に行っています。
本ページでは、発表に向けた流れ や 実際に発表した内容 についてご紹介します!

学術活動のメリット
- 活動(業務)内容・成果を多くの関係者に伝えることができる
自身が日々取り組んでいる業務や活動を多くの同職種や他職種の方、外部企業などに知ってもらう貴重な機会です。 - 活動内容を整理できる
発表にあたり取り組んだ活動の「背景・目的・方法・結果」をまとめ、見直します。 - プレゼンテーションの練習になる
学会では医療IT職以外の方にも理解できるよう、噛み砕いた説明が求められる場面もあります。限られた時間の中でわかりやすい発表をする良い練習の機会になります。 - SE業務に対するモチベーションがあがる
自身の活動(業務)に対して、第三者から評価・関心をもらうことで、今後のモチベーションにつながります。 - 他病院のSEや他職種の方と議論できる
単に発表するだけでなく、聞かれた方から質問を受けて答えるなどを通して活動の振り返りやブラシュアップにつながります。 - 情報収集ができる
様々な医療関連の職種や企業のエンジニアなども参加する場なので、様々な視点からの意見や、同じ研究分野の方の活動など参考になることも多いです。 - 新しい交流ができる
学会では参加者同士で顔を合わせ、密な交流ができます。気になった発表を聞いたり、協業するきっかけやビジネスチャンスの機会もあるかもしれません。 - 業績になる
学会でのポスター発表や口頭発表はその人の業績になります。履歴書や業績書などに学会発表について書くことができます。
発表までの流れ (医療情報学連合大会の場合)
- 4月
- TIS・SE部会で発表テーマ選定、簡易抄録たたき台作成

- 5月
- 発表テーマ確定

- 6月
- 学会へ簡易抄録提出

- 8月
- 詳細抄録提出

- 10月
- ポスター・発表資料作成

- 11月
- 発表
発表事例紹介(2024年11月福岡)
モバイルアプリケーションによる棚卸業務の効率化
従来の医薬品在庫管理の課題

私たちのグループでは、75の施設で医薬品の発注・在庫管理システム「MEDITIS」を導入しています。医薬品は薬局や検査室など様々な部署の棚で保管・管理されています。
従来の棚卸(在庫確認)作業は、以下のような流れで行われていました。
- システムから棚卸記入表を印刷し、各部署に配布
- 担当者が棚卸を行い、記入表に数量を記入
- 記入表を回収し、システムに棚卸し結果を手入力
- 棚卸中の進捗状況管理はコントロール表を使用
この方法には、以下のような課題がありました。
- 紙の管理:記入表の印刷、保管、管理に手間がかかる
- 登録作業:記入表からシステムに結果を手入力する手間が発生
- 入力ミス:手入力によるミスが発生した場合、確認や修正作業に時間がかかる
- 人員の確保: 正確性を担保するため、2人1組で作業する必要があり、人員が多く必要


モバイルアプリによる棚卸システムの開発
これらの課題を解決するために、私たちはモバイル端末を使った棚卸アプリケーションを開発しました。
既存のシステムも存在しましたが、グループ内で導入済みの「MEDITIS」との連携をスムーズに行うため、また、グループ独自の運用ルールをシステムに組み込むために、新規開発となります。
本モバイルアプリにより、グループ内の病院で同じ内容・レベルの運用が可能となることを目指しました。
モバイルアプリ導入による効果
今回開発したアプリケーションを導入したことで、以下のような効果がありました。
- 紙と手間の削減
紙の記入表の印刷、保管、管理が不要になり、システムへの手入力も不要になりました。 - 入力ミスの削減
システムで直接データ連携を行うため、手入力によるミスをなくすことができました。 - 業務の標準化
システムで運用ルールを制御することで、担当者による解釈の違いやヒューマンエラーを解消し、グループ全体で同じレベルの運用が可能になりました。
今回のアプリケーション開発により、グループ病院における医薬品在庫管理の業務改善に大きく貢献することができました。
今後は棚卸機能のブラッシュアップや、その他業務への展開として発注や検収業務などに対応した機能開発を行う予定です。
電子患者日誌と電子カルテのリアルタイム連携アプリケーションの開発
患者さんの「声」と医療現場の「情報」をつなぐ

近年、患者さまご自身による主観的な症状や思いを報告するPRO(patient reported outcome)の重要性が高まってきています。特に、電子機器を用いて情報を収集するePRO(electronic PRO)は、患者さんの日々の変化をリアルタイムに把握できるため、よりきめ細やかな医療サポートが可能になります。
電子患者日誌の導入と課題
アメリカ等諸外国では、ePROの一種である電子患者日誌システムががん領域を中心に導入されており、患者さんが自身の症状や副作用を記録することで、医療者が患者さんの状態をより深く理解できるようになっています。
また、がん治療においては、病院薬剤師と薬局薬剤師が連携し、地域全体で患者さんをサポートする「薬薬連携」が重要です。
しかし、これまでの情報共有はFAXなどが中心で、電子的な連携が難しく、業務効率化の面で課題がありました。これを受け、徳洲会グループでも電子患者日誌システムの導入を進めることで、患者さんのセルフケア支援・薬薬連携の円滑化を目指しました。


電子カルテと電子患者日誌の連携アプリ開発
既存のシステムでは、病院薬剤師が電子カルテに記録した化学療法の情報を、電子患者日誌に再度転記する必要があり、大きな負担となっていました。
また、薬薬連携に必要な治療計画書の作成も、Excelなどを使って手作業で行っていたため、レジメン情報や検査結果の転記作業に多くの時間を費やしています。
これらの課題を解決するため、私たちは電子カルテに記録された情報を電子患者日誌と連携させ、治療計画書を効率的に作成できるアプリケーションを開発しました。
アプリケーション開発の成果と今後の展望
このアプリケーションを導入したことで、患者さんの主観的な評価に加え、化学療法レジメンやトレーシングレポートを病院と保険薬局間で共有できるようになりました。これにより、病院や薬局では患者さんの日々の症状変化を把握しやすくなり、地域で連携して患者さんを継続的に見守ることが可能になりました。
徳洲会グループにおける患者向けアプリケーションを用いた患者満足度の向上
病院の待ち時間、実は患者さんの大きな不満

皆さん、病院に行った際に「待ち時間が長くて疲れた…」と感じたことはありませんか?実は、多くの患者さんが病院での待ち時間に不満を感じているんです。
厚生労働省の調査によると、外来患者さんの約24%が「診察までの待ち時間」に不満を感じているという結果が出ています。
また、日本医師会の調査でも、約37%もの方が「待ち時間」に不満を感じているというデータがあります。これらの結果から、病院での待ち時間に対する不満は、患者さんの満足度を大きく下げる要因になっていることがわかります。
これまで、病院では待ち時間を改善するために様々な工夫をしてきました。例えば、
- 待ち表示システムの導入
自分の順番の前に何人待っているかを表示するシステムです。しかし、あと何分で呼ばれるのかが分からず、結局診察室前で待つ必要があり、待合スペースの混雑を解消できませんでした。 - 診療予約システムの導入
予約システムを導入しても、急患や検査の状況によって予約時間がずれ込むことが多く、待ち時間対策としては不十分でした。


私たちが開発した「HOSPA」
そこで、私たちTISは、グループ病院や関連企業と協力して、患者さん向けのスマホアプリ「HOSPA(ホスパ)」を開発しました。(https://hospa.tokushukai.or.jp/)
「HOSPA」には診察の順番が近づくとスマホにお知らせが届く「呼出機能」を搭載しました。これにより、患者さんは病院の診察室の前で拘束されることがなくなりました。
「HOSPA」の効果と今後の展望
「HOSPA」を利用した患者さんへのアンケートでは、待ち時間のストレス軽減に一定の効果があることが確認できました。
また、次回の予約確認機能も多くの方に利用されていることがわかりました。
今後は、さらに機能を拡充し、「HOSPA」のメリットや活用方法をグループ全体の病院に広めていくことで、患者さんの満足度をさらに向上させていきたいと考えています。
徳洲会グループの臨床研究における問診システムの活用と進捗のリアルタイム共有
臨床研究の現場で起こっていた課題

徳洲会グループでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する臨床研究に取り組んでいます。臨床研究は、患者さんの治療に役立つ新しい発見をするために不可欠ですが、その実施には多くの業務が発生します。例えば、患者さまの情報を登録したり、経過を追跡調査したり、研究の進捗状況を報告したりなど、様々な作業が必要です。
経験豊富な病院では、これらの業務に比較的スムーズに対応できますが、グループ全体で見ると、病院によって体制や対応力に差がありました。
特に、研究に慣れていない病院では、これらの業務が大きな負担となり、データの入力ミスや報告漏れといった問題も発生していました。これでは、研究の質が下がってしまうだけでなく、参加したくても参加できない病院が出てきてしまうという課題がありました。


システム導入で業務効率化とデータ品質向上を目指す
これらの課題を解決するために、私たちは「電子的な調査項目取得」という方法に着目しました。具体的には、問診システムなどを活用し、患者さんの情報を電子的に登録・収集できるシステムを構築しました。
このシステム導入によって、
- 病院の負担軽減
紙でのやり取りやデータ整理の手間が大幅に削減され、病院スタッフは患者さんの対応に集中できるようになりました。 - データ品質の向上
入力ミスや回答内容の取り違えリスクが減り、より正確なデータを集められるようになりました。 - リアルタイムな進捗把握
集められたデータは自動で集計・各所へ共有されるため、研究の進捗状況をリアルタイムで把握できるようになりました。
このように、システム導入によって、業務効率化とデータ品質向上を両立させることを目指しました。
研究の加速と組織全体の連携強化
システム導入によって、病院は研究管理業務の負担から解放され、患者さんの受け入れに集中できるようになりました。また、各病院の登録状況がリアルタイムで可視化・共有されたことで、研究事務局から各病院へのフォロー、病院やグループ本部での意思決定、新規病院の参加促進などが迅速に行えるようになりました。その結果、より多くの症例を集めることが可能な環境が整備され、研究が大きく加速しました。
バックナンバー
2023年度
医療法人徳洲会と共同研究の“徳洲会メディカルデータベース(TMD)の活用実績とデータカタログ作成”, 第43回医療情報学連合大会(2023年11月神戸)
一般社団法人徳洲会と共同研究の“徳洲会グループにおけるチャットアプリケーションを用いたコミュニケーションの活性化”, 第43回医療情報学連合大会(2023年11月神戸)
2022年度
医療法人徳洲会 岸和田徳洲会病院・名古屋徳洲会病院と共同研究の“NCD症例登録で利用可能な手術データベースシステムの構築”, 第42回医療情報学連合大会(2022年11月北海道)
一般法人徳洲会 大阪本部と共同研究の“機械学習を用いた院内の薬剤使用数予測の検討”, 第42回医療情報学連合大会(2022年11月北海道)
医療法人徳洲会 名古屋徳洲会病院・湘南藤沢徳洲会病院と共同研究の“徳洲会グループにおける安否確認アプリケーションの開発”, 第42回医療情報学連合大会(2022年11月北海道)
2021年度
- 医療法人徳洲会 湘南藤沢徳洲会病院と共同研究の“病院内心停止を予測する機械学習早期警告システム(ML-EWS)の研究”, 第23回医療マネジメント学会(2021年6月大阪)
- 医療法人徳洲会 湘南藤沢徳洲会病院と共同研究の“機械学習を用いた新型コロナウイルス重症化予測モデルの検討”, 第41回医療情報学連合大会(2021年11月名古屋)
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