徳洲会インフォメーションシステム株式会社

SERVICE業務内容

徳洲会ビッグデータ

医療ビッグデータの利活用

徳洲会メディカルデータベース

徳洲会グループ(以下、徳洲会とする)は、72病院が保有する累計1400万人を超える医療データを徳洲会メディカルデータベース(Tokushukai Medical Database:TMD)で管理しております。徳洲会メディカルデータベースは、DWHのような巨大なデータベースが存在するのではなく, 各病院に存在する電子カルテDBの集合体のことを指します。

徳洲会は、企業様と研究やAI開発にも取り組んでおり、その際、徳洲会メディカルデータベースから抽出したデータを利活用しております。徳洲会メディカルデータベースでは、病院の医療データ及び、経営データや臨床データ(入院・外来患者様の検査・画像情報等)も効率的に抽出可能です。最近徳洲会が関わっている新型コロナウイルス感染症の研究においては、徳洲会メディカルデータベースから抽出された胸部CT画像や入院時のバイタル情報等が利用されております。

2022年には、徳洲会で臨床意思決定支援システム委員会(CDSS委員会:Clinical Decision Support System Committee for Using Tokushukai Medical Database)が発足されました。CDSS委員会では、徳洲会内部での業務改善を目的とした臨床意思決定支援システムの検討・構築のため、臨床データ等の利活用が始まっております。また、徳洲会は膨大な医療情報を活用した国の事業である医療情報データベース基盤整備事業(MID-NET®)にも、2011年からデータを提供しております。また、徳洲会は2005年から院内がんの登録にも注力しております。日本人の2人に1人はがんになり、3人に1人はがんで亡くなる時代です。徳洲会でのがん登録は、毎年約2万件ずつ増えています。全国にネットワークを保有する徳洲会が、共通のフォーマットを導入し、地域がん登録にも貢献しております。

徳洲会メディカルデータベースのデータ内容対応

徳洲会メディカルデータベース(TMD)が保有するデータ内容について、簡単に紹介させていただきます。

対象期間:2013年から2022年(10年間)
対象施設:徳洲会68病院

入院・外来患者数(徳洲会グループ地域別)(計668万人)

徳洲会グループの地域コードを利用して、集計しております。

入院・外来延べ人数(病名別)

ICD-10(国際疾病分類第10版)の大分類を利用し集計しております。

入院・外来延べ処方数(薬効分類別)

厚生省コードの大分類を利用し集計しております。

入院・外来延べ回数(術式別)

手術Kコードの大分類を利用し集計しております。

TMDの領域別DB

TMDの概要表

データソース データ利用の可否
DPC(様式1)
DPC(EFファイル)
医科レセプト
歯科レセプト 不可
調剤レセプト 不可
電子カルテ(検査結果)
電子カルテ(オーダリング)
健康診断データ
レジストリ 不可
CT、MRI 画像ベンダに抽出依頼可(別途費用発生)
その他 要ご相談

他にも、TMDの年齢分布、薬剤情報、薬剤マスタ情報、ワクチン接種情報、処置、検査、検査マスタ、患者背景・バイタル、保険情報などを知りたい場合、
日本薬剤疫学会:日本における臨床疫学・薬剤疫学に応用可能なデータベース調査の詳細情報を参照願います。

TMDの国内プロジェクトへの利用実績例

研究

TMDを利用した学術研究も年々増加しています。TISでは日々の診療で記録されるデータをご依頼者のオーダーに沿って抽出、提供する研究支援を行っています。

  • 2020年, 機械学習を用いた急性心不全患者に対する投与薬剤の影響予測モデルの構築と精度検証
  • 2020年, 新型コロナウイルス感染症を含む呼吸器疾患に対する治療薬の開発に資するデータ連携基盤の構築
  • 2020年, 大腸緊急手術を受けた患者の術前腎機能と術後の転帰の関連に関する研究 [1] (利用データ:2010~2017年にDPC病院であったグループ38病院から緊急大腸手術患者3,002例の血液検査やバイタルデータ等)
  • 2020年, 2010~2019年のグループ61病院から抽出した約4万人の維持透析患者における高カリウム血症の有病割合研究 [2]
  • 2021年, 診療報酬請求データから関節リウマチを同定するアルゴリズムのバリデーション研究 [3] (2018年2月~2019年1月のグループ64 病院で受診した160 万人から, ランダムに 19,734 人を選択し利用した. その中から, 彼らが提案した「関節リウマチの可能性」の定義に合致した患者334名を同定し, 2名のリウマチ専門医が独立に評価を行った.)
  • 2021年, DPCデータ及び採血データが周術期の合併症及び予後に与える影響: 徳洲会メディカルデータベースを用いた後ろ向きコホート研究
  • 2021年, 「新型コロナウイルス入院患者におけるロナプリーブ™点滴静注セットの有効性の検討」に関する研究
  • 2022年, 体外式膜人工心肺(ECMO)症例を対象とした血液凝固活性化指標における予測因子解析
  • 2022年, 日本における病院の電子診療情報とがん登録データの、がん領域の市販後調査への利用可能性に関する研究
  • 2023年, TMDから12万症例超のCOVID-19診療データを用いた後遺症の発症率, 年齢, ウイルス変異株, ワクチン接種率等の関連性の研究 [4,5]

参照(参考文献):

  • 1) Miyake K, Iwagami M, Ohtake T, et al. Association of pre-operative chronic kidney disease and acute kidney injury with in-hospital outcomes of emergency colorectal surgery: a cohort study. World J Emerg Surg 15, 22 (2020). https://doi.org/10.1186/s13017-020-00303-6
  • 2) Kobayashi S, Iwagami M, Mogalli R, et al. Hyperkalemia in Japanese patients undergoing maintenance hemodialysis : ELEMENT-HD, a real-world evidence study. Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy 2020;53(Supplement 1): 352.
  • 3) Kubota K, Yoshizawa M, Takahashi S, et al. The validity of the claimsbased definition of rheumatoid arthritis evaluated in 64 hospitals in Japan. BMC Musculoskelet Disord 2021;22(1):373.
  • 4) Kinugasa Y, Llamas-Covarrubias A. M, Ozaki K, et al. Post-Coronavirus Disease 2019 Syndrome in Japan: An Observational Study Using a Medical Database. Japan Medical Association Journal, 2023: 1-10. [DOI: 10.31662/jmaj.2023-0048]
  • 5) “徳洲会が保有する12万症例解析で原因究明”. 徳洲新聞. 2023-7-24. [https://www.tokushukai.or.jp/media/newspaper/1399/pdf/1399_01.pdf (visited on 2023-Aug-1)]

データ提供事業

プロジェクト 全体の件数 徳洲会件数 補足
MID-NET(PMDA) 600万 300万 検査・標準化200項目
現在10施設提供
24年10施設追加提供予定
千年カルテ 1,000万 - 3病院のみ参加
AIホスピタル - 1,600件 COVID-19画像等提供

医療AI構築基盤事業例

プロジェクト 補足
医療AIプラットフォーム技術研究組合(HAIP) 国家プロジェクトの「内閣府戦略的イノベーション創造プログラム」が基となり設立された。AI構築のための基盤構築支援
徳洲会の臨床意思決定支援システム委員会
(CDSS委員会:Clinical Decision Support System Committee for Using Tokushukai Medical Database)
GAPS、NEWS、医師の働き方改革などのシステム化やAI化を推進する委員会
徳洲会医療戦略室 学術活動の推進による徳洲会のブランド力向上や医師の採用・教育の強化、臨床ビッグデータやAI(人工知能)の利活用など医療DX(デジタル技術の活用による業務改善やイノベーション)戦略を検討する

心臓血管外科手術症例データベースでの活用

徳洲会メディカルデータベースの1つに心臓血管外科手術症例データベース(以下、心外DB)があり、心臓血管外科手術に関する詳細な症例情報をデータベース化しています。 このデータベースは電子カルテからの自動取得に加えて、各病院のデータマネージャーが専用の心外DBシステムから入力することで作られています。
症例情報は自院での活用に加え、National Clinical Database(以下 NCD)の登録に必要な項目を基にしているので、NCDへの登録の補助ツールとしても利用されています。 また、将来的に心臓血管外科領域のデータベース研究への活用を目指しています。

ご利用について

多くの研究者にTMDをご利用いただき、患者様のための知見が得られることを目指しています。症例研究のご要望の際は是非当社までお声がけください。

例)TMDご利用における代表的な研究実施の流れ

  1. ヒアリング
  2. フィジビリティ調査
  3. 研究計画書の作成
  4. 倫理審査 (※研究、データ提供にあたり当グループの倫理審査があります)
  5. データのご提供
  6. 研究の実施