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徳洲会オンコロジープロジェクト乳がん研究会が初会合 より根拠に基づく標準治療へ

八尾徳洲会総合病院(大阪府)は、運用中の安全で効率的な手術をサポートする「手術管理システム」と電子カルテとの連携を、3月をめどに開始する。手術に用いたすべての医療材料の使用実績データを自動的に電子カルテに反映させるのが狙い。手術室スタッフがデータ入力を行う手間が省けるなど、よりいっそう業務の効率化を図ることができる。

患者さんに優れたがん治療提供

「乳がんに携わる多くの方々に勉強の機会を提供します」と新津・特任教授

初会合では徳洲会オンコロジープロジェクト監修責任者で札幌医科大学分子標的探索講座の新津洋司郎・特任教授が「乳がんに携わっている多くの医療従事者の方々に、勉強する機会を提供するのがそもそもの狙いです。約1カ月前に関係者の方々にお声がけしたところ、賛同を得られたことから、今回、初会合の運びとなりました」と、挨拶した。

次に、同会発足に向け、尽力した東京西徳洲会病院乳腺腫瘍センターの佐藤一彦センター長が「最近の乳がん治療動向など国内外の最新情報」と題して、基調講演を行った。

このなかで佐藤センター長は、乳がん手術の変遷に触れ、以前は手術や放射線照射といった局所療法に重点が置かれていたが、「今は"全身病"としての特性が明らかになり、患者さんのQOL(生活の質)を重視した治療方法に移行してきています」と解説。

早期発見にともなう低侵襲治療として、(1)乳房温存療法、(2)センチネルリンパ節生検、(3)乳房温存療法における乳房部分照射の3つの方法を挙げ、説明した。

「乳がんは術前術後の補助療法が重要です」と佐藤センター長

乳房温存療法は、乳房温存手術を行った後に全乳房に放射線照射を行う方法で、1980年代に従来の乳房切除術と比較し、生存率だけでなく、局所再発率もほぼ同等であることがわかったため、一般的に行われるようになった。現在、国内では比較的腫瘍径が小さな乳がんを対象に、約6割の患者さんが乳房温存療法を受けている。

センチネルリンパ節生検は、乳房周囲のリンパ液が最初に流入するセンチネル(見張り)リンパ節のみを摘出し、病理検査を行うことをいう。

これにより、センチネルリンパ節にがんの転移が認められなければ、その他のリンパ節に転移が生じていない可能性が高く、腋窩(えきか)(脇の下)リンパ節廓清(かくせい)(摘出)を省略することが可能になる。

乳がんはしばしば腋窩リンパ節に転移するため、乳がん手術では単に腫瘍を摘出するだけでは不十分で、腋窩リンパ節もあわせて廓清していた。

しかし、マンモグラフィー(乳房X線検査)の周知や乳がんに対する意識の変化から、比較的早期に治療を受ける患者さんが増加。これにともない、リンパ節廓清を行っても摘出したリンパ節に転移が生じていない患者さんが増えてきたためセンチネルリンパ節生検が登場した。

乳房部分照射は、全房照射に代わる手段として、温存術を行った周囲のみに放射線を照射する方法。

初会合には60人を超える医療従事者が参集

従来の乳房全体への照射は患者さんの身体的負担や合併症が懸念され、とくに放射線治療ができる医療施設がない離島・へき地などでは、患者さんは遠方に足を運ばなければならず、通院負担も非常に大きい。

一方、乳房温存療法を行った後に局所再発が生じた場合でも、ほとんどがもともとあった腫瘍の周囲に位置しているため、乳房全体に照射を行う必要性が疑問視されるようになってきている。

こうしたことから、乳房部分照射が期待されている。佐藤センター長の施設では、乳房部分照射を積極的に行っており、多くの患者さんに喜ばれているという。

このほか佐藤センター長は、抗がん剤を用いた術前術後の補助療法の重要性を強調した。米国では補助療法の普及により、乳がんによる死亡率が減少している。

佐藤センター長は「補助療法を有効に実施するためには、共通レジメン(がん治療計画書)による治療の標準化がとても大切です」と訴えた。

情報システム構築開始

この後、レジメン関連では、東京西病院薬剤部主任の岩井大薬剤師が「乳がんホルモン療法レジメン審議会の報告」、湘南鎌倉病院の下山ライ外科部長が「乳がんレジメン整備状況と現状」と題して発表した。

抗がん剤とITシステムでは、湘南鎌倉病院薬剤部副部長の門谷靖裕薬剤師が「徳洲会オンコロジーシステムの現状と今後」、乳がん臨床研究の促進では、岩井薬剤師、佐藤センター長がそれぞれ報告を行った。

徳洲会グループは国内66病院、海外2病院のネットワークを有し、病名や薬剤名などにグループ標準コードを付与、情報共有するため、システムのIT化を推進している。

08年にオンコロジープロジェクトとして、がん登録制度やデータ分析を目的とした情報システムの構築を開始。主要な固形腫瘍に対し、標準的な化学療法の実施を検討し、グループ内統一プロトコル(手順)による共通レジメンによって治療の標準化を試みている。

今回の乳がん研究会発足が弾みとなり、グループ全体のがん治療の標準化が加速し、患者さんにとってより良いがん医療の提供が実現できそうだ。

初会合では最後に、篠崎伸明・徳洲会専務理事が、4月から3期目に突入する文科省オーダーメイド医療実現化プロジェクトの概要を説明。このなかで、がん13種と薬疹を対象にした「個別化医療推進プロジェクト」へのグループ病院の協力を要請した。

徳洲新聞2013年(平成25年)2/25  NO.866 より

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